残すこと

OTOさんの棺が火葬場に送られた日。
私は棺の乗った車に乗って、私の家とOTOさんの家を周って火葬場に向かった。
生前の彼の行動範囲の狭さ、知人のなさがこのように現れるのかと。
そして火葬場の玄関で待っていた係りの人に案内されるまま動く私。
OTOさんの棺を乗せた車は普通の黒いワゴン。
棺は薄っぺらの木のもの、遺骨を入れるだろう壷をかぶせていた布は白の無地。
生前、写真を撮ることすら嫌がった本人の写真もない。
その次に入る棺を乗せた車は金キラなのもがりっぱな車の上に飾られたもの。
棺の上には金の布がかぶられ、遺骨を入れるつぼをかぶっている布も金。
後ろに続く親族も相当な数であり、みな黒い喪服を着ている。
ご本人の写真もご立派、写真立てもご立派。
それを比べる姉は「写真もなく・・・・」と涙をくむ。
人情派の姉らしい。
焼く所が違ったのか、お金持ちは綿密に焼いてもらうのか、遺骨が出てきた時間はそれぞれ違って、それ以上、高価な棺の方々とは会っていない。
しかし、焼き口に設けられている壇には同じ大きさの壷が置かれていた。
どの方がどのように死んで行っても遺骨の入れ物は同じ大きさなんだなァ。
その壷をどんな布でかぶせていようがもうこの世から居なくなるのも同じなんだなァ。

OTOさんが亡くなって、イソイソと3日葬をして(韓国式)
粉骨にされた遺骨をすぐにでも自由にさせてあげたかったのに、49日間ほど家に置くことになって(日本式)
彼の人生の最後がそれほど自由で気楽なものにならなかったのが心に残る。
その後、彼の住んでいた部屋の引渡しのための掃除をした。
もともと母をこの辺に呼ぶのに借りた部屋。
日当たりが良くて庭ほどではないけど部屋の前に少しのスペースがある所。
念願の一人暮らしが出来る母のために全てを新調してあげた可愛いスペースは、ピカピカなものを好まない彼によって破壊され、ベッド以外なものはない。
他人との交流をもてないOTOさんが住んでからあらゆるところをダンボールで囲んで、暗くしていたし。
部屋の敷物の下にもチラシやダンボール、新聞紙などを引いてあった。
物を持っていない彼の質素な暮らしから出たゴミはそのような要らない紙類。
彼の所持品はゴミ袋20個ほどで済んだ。
少し残った粗大ゴミを頼んだ今日、あいにくの雨。
貼ったシールが剥がれない時に持って行ってくれますように。

このようにして一人の人間が生きた形跡はこの世から永遠になくなる。
彼を語る人も少しずつ。
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by sillycon76 | 2012-02-23 08:53 | Comments(0)

何かとツマラナイものに執着をしてしまうBlog中毒者


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