社会通念

この前、色々あって生活保護を受けなければならない人の部屋探しに携わった。相談にのる日本人の先生方は「生活保護だと扱う不動産屋も多くなくて・・・」などと。もちろん30年の経験があるから、この日本社会がどんなに難しいか(特に外国人の生活保護受給者に)誰よりも心を痛めていらっしゃってのお言葉だ。だから私も事前にネットで調べた事実をも隠して、先生方が日ごろお願いをしている不動産屋を訪ねた。
あの暑い日差しの正午過ぎ、親子はバラ色を夢見て3時間ほどかけて2県を通って相模原市を訪れた。そして私たちが用意した所は40年前のぼろい木造建て。窓は壊れていて、追い炊きも出来ない小さい湯舟があるバスルームに堂々と備え付けのトイレ。8歳の合体の良い子は「お風呂とトイレ別が良い・あの窓壊れているからきらい」と焦点をついている。ごもっともだ。
管理費を家賃に含ませてもらえないかと交渉する私にトナリつける不動産屋のおやじ。
それでもその日、住処を決めないと彼女の希望日に引っ越しができないことなどで、私たちは彼女の説得にかかる。①引っ越しをしたい②地域がいい③部屋が明るい④隣のおばさんが優しい顔をしていたなどなど良い点を述べる。
彼女の目から涙が流れる。ワンルームでも良いからもっと綺麗な所で住みたい。あのおやじが怖い。
わかる。
2時間が過ぎようとしている。この親子の帰る時間を考えるとあせる。
Kimにこんな才能があったと思わなかったが、みんなを前に携帯でネットを調べ、電話をする。そして会ってくれる不動産屋を近くで発見。即尋ねる。私たちのことを正直に言い、まずは毛嫌わずに相手にしてもらえた。先生の顔も晴れてきて、Kimさんやるじゃん!とほめられる。
PC操作の上手な担当者は何件か物件のイメージを見せてくれて、電話をしまくる。そして一件、このままの私たちを受け入れる家主を見つけてくれた。そして内見に。
①建物OK(マンション)②綺麗 ③トイレ・バス別 ④窓こわれてない ⑤管理費が家賃に組まれている。
彼女が「お母さん!」と私に抱きついてくる。笑顔で帰ることができた時刻午後6時4分の電車。着きましたとの連絡9時10分(そこから誰かが迎えにくる、住処までのバスはないらしい)

生活保護だから「こんなもんでいいだろう」「こんなもんでも感謝しろう」な不動産屋さんの社会通念。
本人たちの人間としての尊厳は無視され「日本に迷惑な存在」としてしか思われていない。
でも一人二人と心から話を聞いてくれる人をみつけてやっていくしかない。

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by sillycon76 | 2018-08-08 10:20 | Comments(0)